taichimurakamiの意思表示

 

初秋の風が自己主張を始め出したある日、taichimurakamiの2014-15AWのコレクションについて、その魅力を紐解く為の取材を試みる事となった。神奈川県、某所のアトリエは、都心の忙しさとは無縁の環境で、緑豊かな住宅地の中、ひっそりとその存在を示していた。入り口から室内にはいると、直ぐに沢山の生地とパターン、パーツや様々な種類のミシンが所狭しと並んでいる。全てが見渡せるアトリエは、その住人が全てを目視できることが重要だと言わんばかりに、配列されており、そのビューの向こう側には芝生のガーデンが広がる。Taichiはこのビューがとても重要で気に入っていると言う。

 

Taichiのパートナーが入れてくれたコーヒーを飲みながら、とても愛くるしいファミリーのTeddyと、Jijiとのつかの間の挨拶を終え、

いよいよtaichimurakamiの仕事について、じっくりと話を聞く事になる。彼の中にしか見えない絵(ビジョン)を、どれだけ引き出せるか、また、taichiが持つ物創りへの拘りや興味を、どう活字にしていくかがポイントであり、できるだけ装飾のない、ストレートな表現でtaichimurakami の仕事を記述したいと思う。その為、質疑応答はクエッショナリーを事前に用意し、そこで拾いきれない部分をヒヤリングするという形態を取る事にした。

①型紙 ②ミシンとガーデン ③型紙 ④タグ及び品質表示 ⑤裁断された生地 ⑥ミシンと裁断生地 ⑦生地 ⑧ジジ

 

taichimurakamiを紐解く10の質問

 

1:洋服に興味を持ったきっかけを教えて下さい。

 

  19才の時liftで初めて見た、Collectionの数々を見て洋服の持つ哲学みたいなものを感じた事が本当の意味での洋服に出会った瞬間だと思  います。

 

2:m.a+ではどのような仕事を行っていましたか? また、maurizio amadei氏より学んだ事は何ですか?

 

  仕事内容としては、pattern maker(型紙製作)、design assistant(デザインのアシスト)、fabric develoment(生地開発)、

  collection total management(コレクションの管理全般)、special project(特別企画)といったように、ほぼ全ての事に携わりました。

  その中で、学んだ事は、自由な発想、既成にとらわれない物差しが存在してもいいんだということ。

  そして、創る事は、いつも無から考えるということでした。

 

3:14A/Wのコレクションを説明して下さい。


  fabricに関しては、相反する異素材を一つの生地で表現する事、表の顔と裏の顔をもつ2面性を基本コンセプトに糸の開発から企画開発  を行い、今回よりlining、スレキ(ポケットの内側に使用する素材)を特殊素材で製作しました。
  patternに於いては、round back/half raglanを基本に微調整しながら、毎シーズン、シルエットがより良くなるように、

  そして着心地がさらに良くなる様に改良を重ねております。例えば、pants股下の切り替えがすれ違う様に交差させる事により、

  着る人の動きをサポートします。
  detailの部分では、パーツとして新たにジーンズリベットをsilver925で製作した他、bober jacket.coatに使用したパーツはsilver 素材で  pipe及びchainを新作しました。

 

4:14A/Wコレクションのお勧めポイントは何ですか?

 

  上に同じ

 

5:毎シーズン素材開発を行っておりますが、今シーズンの中でキーとなる素材は何ですか?また、なぜその素材なのかを説明して下さい。

 

  上記で述べた事になりますが、british wool ×cashmere (co tweed)、coated cotton ×cashmere(ca denim)は組み合わせでの対極を表現し  ca netは表にネットをagugliato(付着)させる事で、前回のamido(網戸)のコンセプトを継続しつつ、違うアプローチで2面性を表現し  ました。

 

6:14A/Wコレクションの特視する技術を教えて下さい。

 

  liningとして使用した素材が、洋服芯材としても機能している事です。それは、ライニング素材自体が、特有の個性と、必要な強度を所  有する事で、従来のライニングとしての意味合いに加え、表生地をサポートしてくれる関係になると言う事です。

  具体的にはタイベックという透湿、防水効果のある素材や、それをレイヤードした素材(強度が増し、スティッフネスが高まる)

  を使用し、アイテムにフォルムを形成する上での芯地的効果を発揮させたという事です。

 

7:新しい開発において、特に大変だった事は何ですか?

 

  いつもの事ですが,,,judge(決断)する事です。

 

8:14A/Wコレクションの中で、思い入れの強いデザインは何ですか?

 

  bomber系のカシミアでのボア表現は気に入っています。

 

9:"taichimurakami" のプロダクトにとって最も重要な事は何ですか?

 

  普通である事、そして特別である事。

 

10:エンドユーザーに、"taichimurakami"の商品をどのように着てもらいたいと思いますか?

 

  日常の中にある一着になれたらと思ってます。

 

⑨ライニング ⑩スレキ ⑪タイベック材 ⑫シルバー製のパイプチェーン ⑬ジーンズのリベット ⑭シルバー製のボタン

 

taichimurakamiの魅力を、一言でいうならば “進化する個人技 ”といえるだろう。それは、自身の美意識や質への拘りを、

ストイックなまでに追求し、究極のメンズウェアーを生み出す。それでいて着心地を重要視するといった点は、

デザイナーとしての”押しつけ ”ではなく、最終的に着用者のパーソナリティーをもリスペクトする結果に通じているのではないであろうか。

クエッショナリーの彼の答えにある”普通である事、そして特別である事 “
”日常の中にある一着になれたらいいと思っています”この事がTaichiの服をみていると、実感として自然に伝わってくる。
0から作り出す大変さはTaichiにとって、自己と向き合う為の必然であり、そこにしか答えがない事を理解している。

 

そんな物創りをしているtaichimurakami、今後が、ますます気になるデザイナーである。

 

 

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taichimurakami (タイチ・ムラカミ)バイオグラフィー

 

イタリアローマをベースとするm.a+のマウリッツオ・アマデイ氏の基でクリエーションに深く携わり、帰国後、満を持してデビュー。

Taichi Murakamiのつくる服は、自身で培った経験をベースに独自のリサーチにより、日本特有の筆の良さを製作に織り込んで行く。

アーチザンの仕事をベース に、そこに現代的要素を融合させ、テクニカルであるが同時にファンクショナル。

機能美を与えられたその服は、パーソナルなニーズに答えを提供する。

 

 

Special Thanks : Taichi Murakami
questionnaire : Ryuji Momma
text & editiing : Masahiro Tsunoda
photo : M・Tsunoda
web design : Yuki Uno

 

Further information : Lift écru 03-5459-0635  e-mail : ecru@lift-net.co.jp

 

 

all rights received by Lift Co.,Ltd 2014 September

 

 

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